2015年2月21日土曜日

ECI、コペンハーゲンのユダヤ人警備の葬儀に参列


EUは欧州のユダヤ人コミュニティの安全のために行動を起こすべし

【コペンハーゲン】 2月18日、ECIはコペンハーゲンにあるユダヤ人墓地で行われたユダヤ人警備のダン・ウザン(Dan Uzan)氏の葬儀に出席し、追悼した。トマスECIディレクターは、ユダヤ人コミュニテー関係者、ヘレ・トーニング=シュミット・デンマーク首相、フレデリク・デンマーク王太子とともに参列。

ダン氏は、14日バルミツバの祭が行われていたコペンハーゲンにある中心的なシナゴーグで警備をしていた際に、銃で撃たれて死亡。ダン氏は殺される前に、多くの犠牲者が出ないように犯人を自ら阻止したとして讃えられた。

コペンハーゲンの銃撃事件は、パリで17人が殺されたテロ事件から一カ月近くでこの事件が起きており、多くの点で類似している。イスラムの預言者マホメットを侮辱したとして、ジャーナリストや知識人が最初にターゲットにされたが、テロリストたちはその後、ユダヤ人を焦点にし、コペンハーゲンの中心的なシナゴーグで犯行へと至った。

10カ月以内にヨーロッパで起きたこの種のテロ事件は3回目であり、ユダヤ人コミュニティ全体に大きなショックの波が押し寄せている。しかし、この銃撃事件は、今日、欧州のユダヤ民族の安全性と安心を脅かす高まる反ユダヤ主義の氷山の一角でしか過ぎない。その日の土曜日にはフランス・アルザス地方にあるユダヤ人墓地で、およそ300もの墓石がひっくり返され、破壊された。

2月18日、トマスECIディレクターは、今日、ヨーロッパのユダヤ人コミュニティに対する脅威を阻止すべく新たな対策を論議する「特別EUサミット」の要請書簡を、ヘレ・トーニング=シュミット・デンマーク首相に宛てた。

この提案は、1月26日プラハで行われた欧州委員会の初代副委員長であるフラン(Frans Timmermans)氏との個別の会合で、高まるユダヤ人憎悪と過激派の波を阻止するために欧州危機サミットを要請したのが始まりだった。

水曜日に行われた葬儀に出席した人々の中には、ユダヤ機関のヘッドであるナタン・シャランスキー氏の姿もあった。氏は、昨年の夏の論説で、安全の懸念と高まる反ユダヤ主義から、ヨーロッパにおけるユダヤ人の歴史の終演が始まったと予測した。日曜日付けのエルサレムの新聞記事には、ネタニヤフ首相が欧州のユダヤ人に向かってイスラエルに帰還するよう呼び掛けた。マニュエル・ヴァルス現仏首相など欧州のリーダーたちは、そのような発言は、ヨーロッパはユダヤ人に安全ではないことをほのめかしているとして、怒りの反応を示した。

トマスECIディレクターは次のように語った。

「どの国においても市民を守る責任がある。世界でいちばんユダヤ人が多く住むイスラエルでも同様だ。欧州にいるユダヤ人に加え、イスラエルにおいても、ユダヤ人たちは多くのテロ攻撃に直面している。昨年11月には、パレスチナ人の銃をもった男たちが、エルサレムのシナゴーグを襲い、祈祷中の4人のラビたちを殺害した。14日にコペンハーゲンで起こった事件は、もしダン・ウザンさんの努力の犠牲がなければ、エルサレムの銃撃事件のように殺害者が増えたことであろう。」

火曜日、トマスECIディレクターは、欧州のユダヤ人コミュニティ保護のために欧州委員会から緊急措置を取る新たな要請のためにブリュッセルへと向かう。

2015年2月5日木曜日

2015年2月号 月間報告


アウシュビッツに世界の指導者らと海外から多くの人々が集い、アウシュビッツ解放70周年記念式典が行われ、一つの事柄が合意された。それは、反ユダヤ主義と戦うためにも、この式典を継続していこうというものだ。帰宅し、いつもの生活に戻った時に、実際的な仕事が始まった。ECIは、2003年以来、反ユダヤ主義に対して戦てきた。皆様の祈りによる支えと、2015年のご支援を感謝申し上げる。

ECI会長、1800年間続いたクリスチャンの反ユダヤ主義に謝罪

【クラクフ】 1月27日の午後、アウシュビッツ解放70周年記念式典が、クラクフのシナゴーグで特別なコンサートを伴って行われた。ECIとクラクフのユダヤ人コミュニティと共催で行われた式典には、ユダヤの民族音楽クレズマとバッハを融合させた楽団がパリから出席し、Cantor Itzchak Horovitz とKolorBach によってユニークな音楽が奏でられた。

第二次世界大戦以前、クラクフには総人口の4分の1に当たる6万人もの活気溢れるユダヤ人コミュニティが存在した。アウシュビッツ強制収容所で殺されたために、今日では、500人だけのユダヤ人コミュニティに縮小している。アウシュビッツはクラクフからわずか1時間あまりのところにある。

そして、その70年後、世界中からクリスチャンたちが、ホロコーストの残虐な行為に対して積極的に赦しを乞うために、そして、ユダヤ人と現在と未来のイスラエル国家と共に立つことを確証するために、再びクラクフに戻った。

シナゴーグで行われた式典は、ヘラルドECI会長(写真:会長とダビデ・ハリス氏)が、1800年間続いたクリスチャンの反ユダヤ主義に対して公に赦しを乞うことから始まった。最前列の席には、クラクフ・ユダヤ人コミュニティ代表と、現在のユダヤ人コミュニティ指導者でもあり、ホロコーストの生存者でもある、Tadeusz Jakubowicz 氏がいた。

ヘラルド氏は、ホロコースト以降、高まりつつある現在の反ユダヤ主義の波に対して、100日間祈りと断食で進める「国際祈りの呼びかけ(Global Prayer Call)」運動の創始者である。すでに多くの人々がこの呼びかけに応答している。世界中の指導者らが、オーストラリア、韓国、シンガポール、ガーナ、ナイジェリア、カナダ、アメリカ、ブラジルから、ユダヤ人の側に立つために、4日間行われたカンファランスに出席した。

コンサートの基調演説の中で、米国ユダヤ人コミュニティのダビデ・アリス事務局長は、反ユダヤ主義は過去の問題だけではなく、再びヨーロッパ全体を覆う災いであることを伝えた。今日、各政府はユダヤ人保護に努力しているが、多くのユダヤ人は恐れて、ヨーロッパから離れることを考えている。

「1930年代に起こった反ユダヤ主義と現在高まりつつある反ユダヤ主義の大きな違いは、イスラエル国家が建国されていることです。もし欧州の政策が失敗したとしても、ユダヤ人の国が現在あるのです。1938年にもしイスラエルの国があったとしたならば、どれだけのユダヤ人が救われていたことでしょうか。」

式典には各国政府高官らも出席した。カナダ政府からはティム・アップパール国際文化庁長官が主賓として来られた。長官は挨拶の中で、カナダ政府はイスラエルの国を揺るぐことなく支持することを繰り返した。

アップパール氏は、「今日ある反ユダヤ主義は、その背後に反イスラエル主義があるのを見受けられます。そして、イスラエル製品をボイコットする動きが、再び世界中から聞こえてきます。しかし、それは古い反ユダヤ主義である何物でもないのです。」と語った。

世界の指導者たち、いかにして反ユダヤ主義を阻止するかを思案

【プラハ】 もし我々が、高まる反ユダヤ主義と政治的な過激主義に対してすぐに行動をおこさないのなら、ヨーロッパはまもなく、新たなる闇の時代に入るでしょう。これは、1月26日と27日にプラハでEUとチェコ政府、ヨーロッパユダヤ人会議によって組織された、「わたしの民を生かせよ」と題されたシンポジウムの共通のメッセージでした。

Bernard-Henri Levy(ベルナール=アンリ・レヴィ)やIrwin Cotler(アーウィン・コットラー)、そしてAlan Dershowitz(アラン・ダーショウィッツ) といった有名な意見を形成する論者とともに開いたいくつかのパネル討論会で、スピーカーたちは、手遅れにならずに反ユダヤ主義を阻止するためにできることについての質問に答えようと努めました。

ニューヨークのユダヤ人団体名誉棄損防止同盟のAbraham Foxman(エイブラハム・フォックスマン) は、2012年、5人のユダヤ人がトゥールーズで銃殺された時、あるいは別の4人のユダヤ人が昨年5月でブリュッセルで殺害された時、ほとんどの人が反応しなかったことに注目しました。

「フランスの通りでデモ行進した4百万人はユダヤ人のために行進したのではありません。」と言いました。それどころか、ある人たちはパレスチナ人のことを動機に行進していました。Bernard-Henri Levy(ベルナール=アンリ・レヴィ) のような他の人たちは、今回フランスの政治的指導部が、ユダヤ人に敵対するのではなく、堅くユダヤ人の側に立っていることに注目しました。「脅威は政府からくるのではなく、街の通りのある一部の人々から起こるのです。」

「政治的正しさは飛ばして、簡単明瞭に説明しましょう。我々は片手に過激なイスラム教徒、もう片方にネオナチという問題を抱えているのです。」とヨーロッパユダヤ人議会の総裁、Moshe Kantor は述べました。

反ユダヤ主義を阻止するためになされるべきことについては、パネリストたちは違った見解を持っていました。多くは、嫌悪と暴力を扇動することに対する法律の制定を求めました。他方では、一般社会は自らを規制するとともに、同時にどのような犠牲を払ったとしても言論の自由を守るべきと感じていました。

討論で決定的に低いポイントはトルコ議会の議長であるCemil Cicekが彼の注目をガザの状況に変え、トルコ政府によって一部支援されている反ユダヤ主義の台頭を認める代わりにイスラエル政府を批判した時でした。

サンデール、ブリュッセルでの新たなEU緊急サミットを求める

【プラハ】 トマス・サンデールはECIを代表として、欧州委員会の初代副総裁のFrans Timmermans(写真)に出会ったプラハでのシンポジウムに招かれました。Timmermansは最近、「ユダヤ人のいないヨーロッパは、ヨーロッパではない」と発言しました。会談の中で、同氏はヨーロッパの反ユダヤ主義と政治的過激主義の台頭について、自分の見解を繰り返しました。会談の間、サンデールは公式に欧州委員会に、急増する反ユダヤ主義の脅威を議論する緊急会議を招集することを求めました。この要求は欧州委員会によって考慮されるでしょう。

前回欧州委員会が反ユダヤ主義についての会議を組織したのは2004年でした。Elie Wieselはユダヤ人ではない人々にユダヤ人とともに反ユダヤ主義に対して立ち上がることを呼びかけました。その数カ月後、ECIは最初の年次会議をブリュッセルで主催しました。

夕方、欧州議会議長のMartin Schulz(マーティン・シュルツ)はセレモニーに出席した全国の議会の38人のスピーカーすべてを歓迎しました。「しかし私は特にある人を歓迎したいのです。」といい、イスラエル国会のスピーカーであるYuli Edelstein(ユリ・エデルステイン)の方を向きました。スピーチの中でシュルツ大統領は、ドイツ人として、またヨーロッパ人としてイスラエル国家の安全保障を約束する理由を説明しました。2012年のECIが共催したホロコースト記念日のイベントでのヨーロッパの大統領としての彼の最初のスピーチの中で、欧州議会の大統領としての最重要任務はユダヤ人およびイスラエル国家のために立ち上がることであると述べました。


反ユダヤ主義への返答は、イスラエルである

先週持たれた、色々様々な記念の催し物で語られたスピーチを注意深く聴いた人々に対して 、一つの言葉が欠けていました、それはイスラエルという言葉です。欧州において、ほとんどの指導者たちがユダヤ人コミュニティーへの援助を強く打ち出している一方、その多くがユダヤ人を、ユダヤ国家から努めて遠ざけ引き離しているのです。

月曜の夜、プラハで、あるEUの最高幹部の方に、私が、イスラエルのための欧州共同体の代表であることを自己紹介すると、彼のすぐの反応は、イスラエルがこの何かとどんな関係があるのか、と、質問でした。その人は、高まる反ユダヤ主義に関係するのです。その反応・返答は、イスラエルとヨーロッパのユダヤ人の間に、区別違いを作りたい典型的な多くのヨーロッパの政治的指導者によるものです。その違いがあるだけ、リンクもまた、はっきりしています。

1922年国際連盟によって約束されたように、1938年にユダヤ人の国があったなら、何百万人のユダヤ人が、今日確かに生きているであろうという事実は真実です。ユダヤ人問題の最終解決の前、1922年に、ヒットラーはユダヤ人をパレスチナに送り返したかった。しかし、パレスチナはユダヤ人を受け入れず、他に、彼らを引き受けたい国々はありませんでした。

全く安全を感じれないため、今、史上最多のユダヤ人がフランスとヨーロッパの他の地域を離れていますが、イスラエルは彼らに安全な避難先を備えています。ヨーロッパの国々の政府が、ヨーロッパをユダヤ人に安全な所とする責任があると同じように、ユダヤ人の民族的郷土としてイスラエル本国を援助する重要な役割をも持っているのです。

しかしながら、高まる反ユダヤ主義がヨーロッパで続くなかで、基本的人権へ、不正な行為、あおりたてる行為と軽視する動きが広まっているにもかかわらず、欧州委員会は、その領土問題から、イスラエルの物資ボイコットを導入し、ユダヤ人国家を弱めていく新しい方法を計画しています。

私たちが私たちの価値と主義を共に負う中東で、唯一の同盟として、イスラエル国家の傍に、強く立つことが欧州の義務です。2015年、ECIは、欧州と国連レベルといった最も高い政治レベルで、対話をし、援助を明確にすることでイスラエルに対する事例を強めることを成し続けています。私たちを助けてください。

編集:トマス・サンデル
翻訳:翻訳委員会
tomas.sandell@pp.inet.fi

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